『算数』でさばく高校化学計算問題

あまらし

このページでは、「『算数』でさばく高校化学計算問題」の目的や考え方、およびシリーズ全体で共通する基本的な解法のための道具を紹介します。

 

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基本的な考え方

私の考えでは、化学・物理などの計算問題が苦手という生徒さんが多い理由は、

高校の理科の先生は、頭がよく経験もあるので、考えなくてもかけ算やわり算を使いこなせるけど、多くの生徒さんはそうでもない・・・というギャップにあると考えています。

 

 理科の計算問題が苦手だという生徒さんが多い本質的原因は、算数で勉強する基本的なかけ算・わり算の使い方などが、あいまいだということにあり、そこらへんを多くの理科の先生がわかっていない・・・というところにあるだろうということです。

  

それを補うのが、この「算さば(算数でさばく高校化学計算問題)」シリーズです。 

このシリーズを通し、少しでも多くの高校生の方に、理科の勉強を楽しんでもらう一助になれればと考えています。

 

今のところ、方針としては難しめの問題を、『算数』でさばいていく予定です。 

ご要望などをうかがいながら、方向性はかためていきたいと考えています。

(基本的な問題を扱ったものは、別のシリーズにまとめております。詳しくは、こちらをクリック


どのように「算数」で、さばくのか?

中心となるのは、「かけ算・わり算の使い方」です。

いずれも、小学校のとき算数でそう習ったはずだ…というものです。(忘れてても、しかたないですけどね。)

 

ほっといても、かけ算やわり算とわかるものについては、考える必要はないですね。

なにせ、ほっといてもわかります。

 

そうではなく、使いこなせるようしておきたいかけ算・わり算の使い方です。

大切な方針

比や比例式を使って、簡単に解ける問題もあります。

もちろん、それはその解き方でいいのですが、そこで1歩立ち止まって、途中でできる式が何を意味しているのかを考えてみましょう。

式の意味が大切です

逆に簡単な問題で、確認していくことで一般化され、数値が複雑になったり文字が出てきたとしても対応できるようになっていきます。(1歩立ち止まるといっても、そんな大げさなことではありません。2~3秒考えてみるだけです。)

 

どういうことか?・・・みていきましょう。

例題)モル濃度0.5mol/Lの塩化ナトリウム水溶液200mlにふくまれる塩化ナトリウムの物質量は何molか?

モル濃度の意味から確認しましょう。

0.5mol/Lというのは、1Lあたり0.5molの溶質が解けているということです。

 

200mLは1Lの5分の1なので、溶質の物質量も0.5molの5分の1で「0.1mol」・・・これが、答えです。

 

この問題は・・・

「1皿に(3個)ずつみかんがのっていて、それが(5皿)あります。みかんは全部でいくつですか?」・・・というのと同じことを聞かれてます。

 

例えばこの問題でも、「3Lにふくまれる塩化ナトリウムの物質量は?」と聞かれれば、1Lあたりの物質量(モル濃度)に、それがどれだけあるかということで、「×3」をすればいいことは、みえやすいですよね。


 

この問題も比で答えを出した後、「0.5×0.2(=0.5×200×10⁻³)」という式を、頭の中ででいいので、つくってみましょう。 

 

複雑な数値や文字が出てきても対応できるようになるだけでなく、(0.2は全体を1としたときの1/5分なので、)「0.2をかける」ということは「5でわる」ことと同じ・・・という見方も育むことができます。

例題)2.0gの水酸化ナトリウム(式量40)の物質量を求めましょう。

 

少し考えにくいところかもしれませんが、これは「24個のみかんを、1袋に3個ずつ入れていきます。袋は何袋できますか?」・・・というタイプのわり算の延長といえます。

 

「180mの道のりを分速60mで歩きました。何分かかりますか。」・・・という問題と同じです。

 

1分あたりに進む道のりの60mに3をかければ180mになるので、答えの3分はすぐみえますが、

 

(180)mの中に、1分で進む道のりである(60)mがいくつあるかを考えた180÷60のわり算の式も自在に使えるようにしておけば、その先、いろいろなところで応用がききます。


 

最初の問題に戻って、「2.0gの水酸化ナトリウム(式量40)の物質量を求めましょう。」・・・式量40というのは、水酸化ナトリウムは1molで40gです。

2gの中に、1molあたりの質量40gがいくつあるかで考え、2÷40の計算で求められます。

 

もちろん、わかりにくければ最初は比例式に頼り・・・

「40:1=2:x」のような式をつくって考えてもいいです。

 

でも、この計算の際、最後は x=2/40(2÷40)という形が得られます。

そのときに、このわり算が意味していることが何か?・・・少し考えてみるようにしましょう。

 

その積み重ねで、例えば・・・

「モル質量M〔mol/g〕の物質が、質量w〔g〕あるときの物質量 → w/M〔mol〕」

・・・なども、自然とみえてきます。


特に大事な「かけ算・わり算」の使い方を整理すると、次の4つになります。

(重ねて言いますが、ほっといてもかけ算やわり算とわかるところは、ほっといても大丈夫なので、どうでもいいです。)

① (1つ分)×(いくつ)

② (全体)×(割合)


③ 1つあたり?

④ 1つ分?


②、③は上では触れていませんが、本編の中でおいおいみていきましょう。

 

②は、みなさん、わりと意識できています。

③も、速さ・密度・圧力など、中学までで習う〔単位〕の意味そのものでありますし、本来この種の単位はつねに単位の意味から考えていくべきものなので、それほど問題になりません。単位自体が計算法を示していることも、よくあります。

 

④が大切ですね。私自身は高校生のとき、あるいは塾で勉強を教えはじめてからかなり経つまで、小学校で習ったはずの、このわり算を意識できずに主として「比例式」でごまかしていました。

 

比例式で解けるので、いいと言えばいいのですが、生徒さんたちは私などよりもよっぽど上に行く可能性を秘めていて、より自在にかけ算・わり算を使いこなし、思考力や表現力を上げる可能性があるなら、比例式ですませばいい・・・では、いけないな・・・と反省し、今に至ります。(現在の方針は、「比例式にはなるべく頼らない。でも、ちょっとでも困ったら、頼っちゃえばいいじゃん。」・・・というところです。)

 

なお、④のわり算の使い方を重視していて、わかりやすいと評判のいい先生は、リアルの世界でも、ユーチューブなどネットの世界でも、よくみかけます。(なお、③も④も最終的には「1つの」重要なわり算の使い方に抽象されていきます。それについては、こちらの記事で、くわしく紹介しております。)

 

さらに、私自身も最近になって認識したのですが、①こそ大切ですね。

小学2年の算数で、最初から出てくる考え方です。その応用で・・・

 

「12gの炭素が完全燃焼すると、標準状態で22.4Lの二酸化炭素が発生する。では、24gの炭素からは何Lの二酸化炭素が発生するか。また、6gの炭素からは何Lの二酸化炭素が発生するか。」

 

・・・比の問題とされることが多いですが、簡単にわかる人もいれば、わからない人もいます。

究極的には、「12g(で22.4L)」を1つの単位(セット)として、おさえられるかによります。

おさえられれば、自然と答えはみえてきます。

 

12g(1つ分)で22.4L、では24g(2つ分)で何Lになるか?

・・・「比の感覚」などと言われることも多いようですが、実質的には上で示したかけ算・わり算の組み合わせ・抽象といえるでしょう。

 

 

理科の計算問題がどうしても苦手という方も、こういうところを補っていけば、必ずストレスなくこなせるようになりますよ。


その他にも、算数レベルの「分数」、「比」、「比例」などの考え方で、計算問題の解釈をし、実際に、みなさんが計算問題をこなせるようになるため、役に立つものを提供していきたいと考えています。

 

さまざまなアプローチ法を身に付けることで、それらが相互に補完し強め合い、みなさんの理解度を上げてくれるでしょう。

どうぞ、ご期待ください。


ユーチューブライブ 始める予定です

始めたいけど、なかなか内容についてよいアイディアがありません。

何か思いつくことがありましたら、おしえてください。


参考リンク

「しらこ」さん、というクリエーターの、すてきな問題提起です。
かわいい絵と、秀逸な分析・解釈で必見です。

 

この「算数でさばく高校化学計算問題」にも、つながる内容です。

ぜひ、こちらも、どうぞ!


コメント: 2
  • #2

    なんだかなあ (金曜日, 02 12月 2022 14:49)

    >「比の感覚」などと言われることも多いようですが、実質的には上で示したかけ算・わり算の組み合わせ・抽象といえるでしょう。

    ということは「比の感覚」と「かけ算・わり算の組み合わせ・抽象」は異なるということでしょうか。
    寧ろ、「同じことを言い換えただけ」のような

  • #1

    ゴルゴ・サーディーン (日曜日, 13 11月 2022 21:07)

    小学校の算数での「掛算の順序」と、高校の化学の問題は、関係があるのでしょうか?

    次の2つの解説はどちらも「井出進学塾」さんの出された物ですね?
    物質量と分子量(or原子量)の順序が逆になっているので、(すくなくとも)高校の化学では、掛算の順序の
    縛りからは自由になっていいい、という事ではありませんか?

    (1) 2モルの酸素原子の質量は 2×16
    https://sidouhouannai.jimdo.com/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E7%94%9F/%E5%8C%96%E5%AD%A6-%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%9F%BA%E7%A4%8E-%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E5%8B%95%E7%94%BB-%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8/%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%93%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%85%B1%E9%80%9A%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E5%8C%96%E5%AD%A6-%E8%A7%A3%E8%AA%AC/%E5%85%B1%E9%80%9A%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E5%8C%96%E5%AD%A6-%E8%A7%A3%E8%AA%AC-%E7%AC%AC2%E5%95%8F-2021%E5%B9%B4%E5%BA%A6-%E4%BB%A4%E5%92%8C3%E5%B9%B4%E5%BA%A6-%E6%9C%AC%E8%A9%A6/

    (2) 0.35モルのマグネシウムの質量は 24×0.35
     https://youtube.com/watch?v=GIZNCq48g4c&ab_channel=%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E5%AE%AE%E6%95%99%E6%9D%90%E9%96%8B%E7%99%BA%EF%BC%88%E4%BA%95%E5%87%BA%E9%80%B2%E5%AD%A6%E5%A1%BE%EF%BC%89